最高裁判所第二小法廷 昭和29年(オ)285号 判決 1956年4月13日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人近藤亮太、同寺尾元実の上告理由について。
記録によれば所論原審における口頭弁論期日(昭和二八年一二月二二日午前十時)には、控訴人並びに控訴人の訴訟代理人は出頭せず、被控訴代理人は出頭したこと、及び右期日の弁論調書には、被控訴代理人は「前回迄の口頭弁論調書に基いて従前の口頭弁論の結果を陳述し」たとの記載あること明らかである。本件のごとく裁判官の更迭のあつた場合、当事者の一方が欠席したときは、裁判長は出頭した一方の当事者をして、当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述せしめることができるのであつて、右のごとき調書の記載は被控訴代理人において当事者双方にかかる従前の口頭弁論の結果を陳述したものと解すべきであるから、民訴一八七条二項所定の手続は適法に履践されたこと明瞭であつて、何ら所論のような違法はない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克)